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No.19

見川鯛山は、
人生を愉しむ達人だ。

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 見川鯛山、八十七歳。那須に住む山医者、作家、釣り師……、氏を形容する言葉はいくつもあろうが、どれをあてはめても役不足である。つくづく、言葉とは歯がゆいものだなと痛感せざるをえない。にもかかわらず、見川鯛山に直接会うことのできない多くの読者に彼の魅力を知っていただくため、あえて書き言葉を用いなければならないというのも事実である。
 見川鯛山。本誌にも隔月で原稿を寄せていただいているので、多くの読者にはすでにお馴染みであろう。短い文章に、汲めども尽きぬ人間への深い愛情とペーソスが込められ、照れ隠しというオブラートでくるまれている。事業に失敗して一家心中を考えていたある経営者が、見川鯛山氏の文章を読んで死ぬのがバカらしくなってやめたという有名なエピソードを持ち出すまでもなく、氏の文章は多くの人たちの心を動かす。本誌読者にとって、見川鯛山氏は物書きのひとりかもしれないが、実際はどうなのだろう。
 
 石を投げれば「先生」に当たるほど、この国には先生と呼ばれる人が増えて戸惑いを隠せないが、見川鯛山氏のような人こそ、先生と呼ばれるに値すると私は思う。「医は仁術なり」とはこういうことだったのかと唸らされるほどに心のこもった医を施し、ユーモアあふれる暖かい文章で読者の心に一陣の暖かい風を巻き起こす。家族を愛し、家族に愛され、自身の周りにいつも笑いの渦をつくる。そして永遠のヤンチャ坊主のごとく野山をかけずり回る。
 生きることはこういうことなのかと思う。
 苦行層のようでもなく、かといって浅薄な享楽主義者でもない独自の生き方は、半分ほどの人生経験しかない私に多くの示唆を与えてくれる。だからこそ、私は敬愛をこめてこう呼びたいのだ。「鯛山先生」と。
 鯛山先生の生きざまこそ、多くの後進の者たちに人生を愉しむ秘訣を授けてくれるのではないだろうか。
 では、鯛山先生の生きざまとはどんなものなのか。その片鱗だけでも伝えることができれば、と本特集を組んだ。

●企画・構成・取材・文・制作/髙久 多美男
●写真/渡辺 幸宏

 

● fooga No.19 【フーガ 2003年 8月号】

●A4 約90ページ 一部カラー刷り
●定価/500円(税込)
●月刊
●2003年7月25日発行

 

おかげさまをもちまして、完売いたしました

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