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No.21

和食で味わう
栃木食さい(前編)

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 もしも病気になった場合、一番不幸せなことは何だろう。入院や手術が必要となれば、高額の医療費を支払わなければならない。人生の目的を追い求めている途中でも、それを諦めなければならない。やりたいことは全部、我慢しなくてはならない。
 二、三日寝込むくらいの風邪をひいて、何を食べても美味しくないことがある。
 何とまあ、味気ないことだろうと思う。
 もしも、食べ物を飲み込むこともできないほどの重病に陥ったとしたら、食いしん坊のわたしが一番に望むのは、「もう一度、ごっくん、ごっくん、と喉を鳴らして冷たいお水が飲みたい」とか、「バリン、バリン、と音をたてて、おせんべい食べたい」そんなところだろう。
 病気になったとしても、それまでと同じようにご飯をおいしく食べられるのなら、体や心の辛さもずっと和らぐのではないかと考えたりする。
 ところで、おいしいものの定義は人さまざまだ。
 一流のシェフが作った料理でないと満足しない人がいる。お母さんの作った味噌汁でなきゃという人もいる。コンビニのおにぎりは家で作ったのよりおいしい、という子どもたちも増えてきた。
 飽食の時代とよばれるほどに、今わたしたちはここにいながらにして、世界中の料理や食材を味わうことができる。
 その一方で、忘れ去られようとしている味もある。だが、わたしたちの舌を育ててきたのは、実はそんな忘れられかけた味である。
 
 栃木には、地形や自然に恵まれ育まれた、たくさんのおいしいものがある。
 すべてを紹介することはできないが、今月と来月の二回にわたって、六つの食材を紹介しよう。どれも皆、華やかさとは無縁だが、地味な姿の底に力強さを秘めたすばらしい食材たちだ。
 料理とナビゲーターには「響友会」の気鋭の六人の料理人を迎えた。
 彼らは栃木のすばらしい食材を発見し、日本中に広げようと活動を続けている。
 タイトルの「栃木食さい」あえてひらがなにしたのは、彩、才、材、祭、菜、採、際……さまざまな意味があてはまるからだ。

●企画・構成・取材・文・制作/五十嵐 幸子・都竹 富美枝
●写真/渡辺 幸宏

 

● fooga No.21 【フーガ 2003年 10月号】

●A4 約90ページ 一部カラー刷り

●定価/500円(税込)
●月刊
●2003年9月25日発行

 

おかげさまをもちまして、完売いたしました

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