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No.30

内なる宇宙への旅人
宮坂健のファンタジックワールド

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 人間は、自らの内に自分の体積よりもはるかに大きい宇宙を創り出すことができる。といっても、解剖して見えるものではない。まして妄想の類でもない。ある、ものの見方の集積とでも言えばいいのだろうか。
 人間以外の動物については定かではない。もしかすると人間以上に大きな宇宙を抱えているのかもしれないが、彼らは心の内を吐露しようとしないので、真実は闇の中だ。わが家のネコや犬にも訊いてみたが、返答はなかった。
 さておき、エッグテンペラ画家・宮坂健氏の抱える宇宙である。下の作品を見れば、現にある風景を写しとったものではないということが即座にわかる。しかし、宮坂氏にとっては、まぎれもなく「写しとったもの」に違いない。つまり、彼の心の内を。自らの内に広がる無限の宇宙の断片を。
 では、それらの宇宙は何でできているのだろう。
 主な材料は、記憶だろう。記憶は、その捉え方により、さまざまな形に変容する。しかし、それだけで宇宙を生成することはできない。記憶が着床する受容体が必要だ。たぶん、それは現在のその人の「格」であろう。さらに記憶をその人の格に着床させる触媒があって、はじめて宇宙の生死ゑが可能となるのだが、その触媒とはその人の想像力であるに違いない。つまり、自らに宇宙を創ることは、エッグテンペラ画の絵の具をつくることと似ていることに気づく。色の素となる鉱物、カンヴァス、卵に含まれるレシチンと水、というわけだ。
 それでは、宮坂健氏の宇宙がいかなるものか、扉を少しだけ開けて中を覗いてみることにしよう。

●企画・構成・取材・文・制作/髙久 多美男
●写真/渡辺 幸宏

 

● fooga No.30 【フーガ 2004年 7月号】

●A4 約90ページ 一部カラー刷り
●定価/500円(税込)
●月刊
●2004年6月25日発行

 

おかげさまをもちまして、完売いたしました

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