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No.31

FACE OFF
日光アイスバックス
躍進の可能性

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 ヨーロッパ大陸のほぼ中央に位置するチェコ共和国の首都プラハは「百塔の街」と呼ばれている。
 百とはいささか大袈裟だが、旧市庁舎、火薬塔、ティーン教会など多くの塔が街中にそびえたっているのが目立ち、ロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、そしてバロック時代の建造物の間を石畳の通りが広がる美しい街だ。しかし、その歴史は「激動」そのものである。
 十五世紀初め、神学者ヤン・フスは教会の腐敗を批判し、ベツレヘム礼拝堂にてチェコ語で説教を行ったため、宗教会議はフスを異端とし、1415年に火刑に処された。彼の支持者たちは四年後に反乱を起こし、ローマ法皇の送った十字軍との戦いは実に十五年にも及んだ。これがチェコ激動の歴史の始まり、「フス戦争」だ。その後も、ハプスブルク家による支配、ナチス・ドイツの占領、そして旧ソ連の軍事介入による「プラハの春」など、幾度となく戦禍をくぐり抜けてきた。人々はその都度、政治的にも宗教的にも極端に変化させられてきたために、さまざまな強制が習慣として知らず知らずのうちに身についてしまっていた。しかし、人々には強制されない唯一のモノが残されていた。それが「スポーツ」である。
 チェコも他のヨーロッパ諸国同様、国民的スポーツといえばやはりサッカーだろう。だが、ウインターシーズンに行われるアイスホッケーは、もう一つの国技ともいわれるほど人気がある。現在「エクストラ・リーグ」というプロ・リーグにはチェコの主要都市をフランチャイズとする十四のチームが参戦している。人々はわが街のチームをこよなく愛し、試合の日ともなれば、お気に入りの選手の背番号入りのレプリカジャージを身にまとい、会場となるリンクへ向かうファンの長い行列ができる。
 そして、遠く離れたここ日本にも、そんな熱狂的なファンを持つアイスホッケーチームが存在する。それが「日光アイスバックス」だ。シーズン開幕まで約二ヶ月の今からファンは待ちわびている。センター・アイス上で審判がパックを持って片手をあげる「フェイス・オフ(試合開始)」の瞬間を。

●企画・構成・取材・文・制作/西脇 誠治
●写真/渡辺 幸宏

 

● fooga No.31 【フーガ 2004年 8月号】

●A4 約90ページ 一部カラー刷り
●定価/500円(税込)
●月刊
●2004年7月25日発行

 

おかげさまをもちまして、完売いたしました

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