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No.39

絵描きほど素敵な人生はない
孤独で幸せ 今村幸治郎の世界

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 「孤独で幸せな絵描き」(本人の言葉による)の今村幸治郎さんが、少年の頃もっぱら憧れた職業は音楽家、そして詩人だったという。そのせいか、今村さんの絵からは美しいメロディーが奏でられてくるし、豊穣な詩人の言葉があふれかえっている。優れた絵も詩も音楽も、内包する高貴な魂の本質は同じなのだ。
 今村幸治郎さんは、熱狂的なビートルズマニア、そしてシトロエニスト(フランス車シトロエンをこよなく愛する人)として有名だ。ジャズも年季が入っているし、子どもの頃の憧れはバイオリニストだった。そして大変な読書家でもある。近縁では泉鏡花全集を読破、現在はバルザック全集に再び挑んでいる。今村さんの人生設計といえば、三十代でフローベール全集を読み、五十代でバルザック全集を読むというもので、やはり世間一般のオヤジたちと比較すれば、少し変わり者だということは否めない。
 絵を描くことが仕事だとか商売だとか考えたことは、一切ないという。好きなことに囲まれて独創的な表現世界を生み出し、人間としての暮らしもなりたてていけるなんて、本当なら羨ましいことこの上ない。けれど違う見方をすれば、自分だけの世界に埋没することは案外孤独なことかもしれない。それも、とびきり幸福をともなった孤独であろう。
 少年時代の純粋な歓びをモチーフに描いた作品は、どこにもないこの人だけの世界だ。もしも今村さんの絵を見て、音楽が聴きたくなったり本が読みたくなったら、あなたも間違いなく、この世界に惹きつけられていくひとりに違いない。

●企画・構成・取材・文・制作/髙久 多美男
●写真/渡辺 幸宏

 

● fooga No.39 【フーガ 2005年 4月号】

●A4 約90ページ 一部カラー刷り
●定価/500円(税込)
●月刊
●2005年3月25日発行

 

おかげさまをもちまして、完売いたしました

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