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No.87

墨の愉しさに遊ぶ
書家 川又南岳

Contents

 ひとつの道を求めるとき、人はどのような表情を見せるのだろうか?
 歯を食いしばって道を切り開く人もいるだろう。悲壮感を漂わせながら懸命に道を模索する人もいるだろう。十人いれば十通りの道があり、十通りの表情がある。
 今回の特集には「愉」という字が頻出する。肩の力を抜いて、書の道をすすむ川又南岳さんには「愉」がよく似合う。人懐っこい笑顔で周りの人にも愉しさを伝えながら好きな書を追い続ける。

 

 今回の主人公、川又さんの作品は、書に苦手意識を持つ人の気持ちをがらりと変えてしまう。人柄同様の親しみやすさ、愉しさが紙の上からあふれだしている。
 書に対する思いは人一倍強いが、肩肘張って「書の道」を究めようと突き進んでいる、そんな風でもない。
 自由に書を愉しみ、時には絵画や陶芸、詩吟といった他の芸術と肩をならべるようにして実に闊達に書と戯れる。
 その活動は日本国内だけではなく、中国やドイツ、ブラジルなど海外にも及んでいる。一九九二(平成四)年には書の親元、中国に招かれ天安門にある歴史博物館で個展が開催されるほどの評価を受けた。
 その一方で、既存の書道界には、川又さんの自由な活動から生まれる書を、「これは書道ではない」とする向きもあるという。
 しかし、そんな声を知りながら川又さんはどこ吹く風、と書を愉しみ続ける。
 「この道を行けば、一体どこに行き着くのか、わからないけどいってみよう」そんな言葉を取材中、二度三度と聞いた。

 

 書に苦手意識を持っている方も、ぜひ一度川又さんの書の世界に触れていただきたい。その気持ちが杞憂であることに気づくだろう。

●企画・構成・取材・文/野口裕紀
●デザイン・レイアウト/人見勝彦
●写真/渡辺 幸宏

 

● fooga No.87 【フーガ 2009年 4月号】

●A4 約80ページ オールカラー刷り

●定価/500円(税込)
●月刊
●2009年3月28日発行

 

おかげさまをもちまして、完売いたしました

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