つまずきは転落を防いでくれる
イギリスの諺(ことわざ)だそうな。諺というのは先人たちの知恵の結晶である。どの国にも古くから伝わる諺があって、時に励まし、時に叱咤しながら後世の人々の足元を照らしてくれる。この諺も、かつて生きたイギリスの誰かの人生から導き出された教訓に違いない。
事を成した人たちは、みんな同じことを言う。
失敗は成功のもと。
チャレンジあるのみ。
成功するまで諦めず続けることが成功への道。
為せばなる、為さねばならぬ何事も。
……。
「とにかくやってみることだ」と。
そんなことわかり切っているのに、なぜやらないのか。
もちろん失敗を恐れるからだ。
生来が心配性の日本人は失敗を恐れる民族らしく、厄介なことにプライドも高い。
だから、失敗を恐れるというより、失敗するのが恥ずかしいのだろう。
転んで無様な姿を晒すくらいなら、最初から何もしないほうがマシだと。
でも、転ばなければ痛みもわからないし、転ばない歩き方を身につけることもできない。
「失敗ではなく、うまくいかない一万通りの方法を発見しただけだ」と言ったエジソンの言葉どおり、転べば転ぶほど、転ばない方法が身につく。
世に言う「成功者」たちは、その事を知っている。
さらに、落とし穴がある場所も、匂いや感触など、経験則からなんとなく感じとる。
つまずいて転んだ先に、大きくて深い穴が空いていた、と言う事だってあるのだ。
転ばなければそのまま歩き続けて、ポッカリ開いた穴に落ちてしまう。
そう思うと、つまずきや失敗は、天からの導きなのかもしれない。
ちゃんと目的地へ辿り着けるように、
「そうじゃない」「そっちじゃない」と、案内してくれているのかも。
だとしたら、つまずきや失敗もドンと来い!ってなものじゃないか。
今回は「夕間暮れ」を紹介。一日の中で、美しさと寂しさが同居する時間といえば、夕ぐれ時でしょうか。一年の中では秋。「秋は夕ぐれ」と言った清少納言の気持ちがよくわかります。続きは……。
(210919 第749回)