日本人として覚えておきたい ちからのある言葉【格言・名言】
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紺碧の将

平凡なことを毎日平凡な気持ちで実行することが、すなわち非凡なのである

アンドレ・ジッド

 ノーベル賞作家、アンドレ・ジッドの言葉である。厳格なプロテスタント教育を受けたジッドは、『背徳者』や『狭き門』などの作品にもその影を色濃く落とし、自身は同性愛者であることを『一粒の麦もし死なずば』で告白した。
 やはりというか、おしなべて作家は同じことを言うなあとつくづく思う。村上春樹さんも、こんなことを言ってましたね。
 
 とあるお寺の住職に聞いた話によると、お坊さんの一日は早朝4時の起床にはじまり、本堂、客殿、庫裏の雨戸を開けて空気を入れ替え、山門を開く。次に朝一番のお茶を仏様に供え、本堂を掃除。蝋燭、線香を灯し、読経を唱える。そして、その日のスケジュールを確認し、それに沿った日常が始まるという。
 
 こうして並べてみれば、お坊さんだからといって特別むずかしいことはしていない。お坊さんがすごいのは、厳しい修行に耐え、規則正しい習慣を何年も何十年もくり返し続けているということだろう。
 
 平凡なことを続けることはできるかもしれない。
 だが、平凡なことを「平凡な気持ち」で続けることは案外むずかしい。
 平凡な気持ちとは、すなわち「平常心」であるから、ゆらゆら揺れる心をフラットにするにはエネルギーがいる。
 
 その日によって体調は違うし気分も違い、天気や季節、環境や状況にも心身は影響されるから。
 
 ところが不思議なことに、同じことを毎日くり返し行うことで、そういった外部の変化にも動じなくなってくる。
 体が自然と反応し、いわゆる瞑想の状態と同じになって、体は動いていても心は静かになっている。
 
 ものごとが変化するスピードが速くなればなるほど、淡々とルーティンをこなしてゆく。
 変化に対応していくために、変化しない軸を作るのだ。

 

神谷真理子(本コラム執筆者)公式サイト「ma」

 

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(210923 第750回)

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