人間は、自分が思いによって創られた存在であることを理解すればするほど、より穏やかになります
今でこそ当たり前に語られる「思いは形になる」という概念、おそらくこれは自己啓発書の原点とされる『原因と結果の法則』の著者、ジェームズ・アレンが自身の体験から導き出した法則にちがいない。デール・カーネギーなど現代成功哲学者たちがこぞって読んだとされる本書は、聖書に次いで一世紀以上もの間多くの人々に読まれているという伝説のバイブルである。
「結実」と書けば、おのずと意味もわかるだろう。
植物が花を咲かせ、花が果実となるのは、撒いた種の賜物である。
実を結ぶのは種を撒いたからであり、結ばないにしても何らかの知恵は得られる。
原因と結果の法則は、自然界の法則でもある。
しかし、世界中をとりまく現状をすべて自分自身の「原因と結果」と捉えてしまうと生きることも辛くなってしまうから、あくまで自然界を大前提として捉えてみる。
自分の外側で起こる現象はどうしようもならないが、内側に沸きあがる感情は鍛錬によってコントロールできる。
自己コントロール。
それが、コントロールできない外側の世界を支配できる、唯一の方法だろう。
ジェームズ・アレンは、穏やかな人間は自己コントロールのできる人であり、彼らは成熟した人格者で、「原因と結果の法則」を正確に理解しているという。
「原因と結果の観点から、あらゆる現象を正しく眺められるようになることで、人間は、不平を言ったり、いらだち、悩み、悲しむことをやめ、より落ち着いた、より安定した、より穏やかな心の状態を保てるようになります」
たとえていうなら、
「真実の海のなか……水面から遠く離れた、いかなる嵐の影響もおよばない永遠の静寂のなか……」
穏やかな心はそこに住んでいるのだと、彼は語る。
結果を出した人たちは、口を揃えて言っている。
「思いは形になる」と。
いまの自分の姿は自分の思いの結実であり、いまの自分の社会的立場や環境は、自然発生的なものでないかぎり、意識するしないに関係なく、自分が繰り返し頭にリフレインさせている現象なのだ。
今回は「薄氷」を紹介。
あたたかな春の気配を感じながらも、肌に冷たい風が残る早春の朝、思いがけず氷の貼った面に出くわすことがあります。うっすらと下方を浮きあがらせて朝日にきらめく春の氷、「薄氷(うすらい)」です。続きは……。
(220313 第783回)