太陽が輝くかぎり、希望も輝く
シラー
シラーはドイツの思想家、劇作家、詩人で……などと説明するよりも、ベートーベン「第九」の「歓喜の歌」を書いた人、というほうが私たち日本人にはなじみやすいかもしれない。
パンドラが好奇心に誘われるまま開けた箱からは、あらゆる悪しきものが飛び出してきた。病気、貧困、怨恨…。驚いたパンドラは箱を急いで閉めた。箱の中にたったひとつ残っていたのは、「希望」だった(神話「パンドラの箱」)。
希望は、人類に残された最も大切な善き存在なのか、それとも、災いをもたらす悪しき存在なのか。
昨年の震災以来、「希望」という言葉がクローズアップされている。「パンドラの箱」が問いかけるのは、「希望」の多義的で曖昧な意味だけではないだろう。それが善悪どちらであろうとも、人間には「希望」が必要なのだ。そして輝き続ける太陽のように、希望もまた消えることはない。
(120315第34回)