民法出て忠孝亡ぶ。
穂積八束
明治の開国によって法整備が急務となった日本は、やむなく西洋の法律を翻訳したインスタントなシステムを受容した。だが西洋の徹底した自由主義、個人主義、合理主義を前提につくられた法律が、多少の修正を加えたところで日本の国柄に易々となじむものではない。
この教訓は現代にもそのままあてはまる。合理主義的価値観をとことんまで仕入れた日本がどんな国になりはてたか。心の荒廃は回復不能なところまで進んでいる。「法は最低限の道徳」という言葉がある。法はシステムでありながら、その背後に道徳を宿しているのだ。「米国産憲法」の改正が叫ばれる理由である。
(120815第44回)