恋というのは一つの芝居なんだから、筋を考えなきゃだめだよ
谷崎潤一郎
恋というのは一つの芝居なんだから、筋を考えなきゃだめだよ
谷崎潤一郎の迷言?
さすが、です。
来年は谷崎生誕130年。今年5月には新たに全集の刊行も始まり、これから谷崎が脚光を浴びることまちがいなし。山田詠美も『痴人の愛』の向こうを張った作品を書き、話題になっている。
では谷崎は「筋」を考えながら、恋をしていたか。
そんなことはないだろう。どう見ても、全身全霊、ズブズブの入れ込みようだ。
バルザック全集を読破しているなど、マキャヴェリストを気取ってもいるが、根が女好き、というか恋愛好き、女性との間に適度な間合いをとることはできなかったようだ。
もっとも、それだからこそ書きえた作品も多々あるだろう。やはり、恋愛は芸の肥やし、人生の肥やしである。
(150216第98回)