蓄積が新しい問いかけを生む
ロバート・キャンベル
某新聞で、日本文学者のロバート・キャンベル氏が老後や老いについて問われたときの言葉だ。
研究者に定年はない。むしろ、研究者には成熟が大切だという。
しかし、研究者にかぎってのことではないだろう。
何かを続ければ続けるほど疑問は生まれ、更なる境地へ向かうために試行錯誤が繰り返される。
止まった時点で老いは始まる。
成熟した時間の蓄積は老いではない。そこから新たに生まれ変わるのだ。芳醇な香りを醸す、味わい深い逸品へ。
「最後まで飲み干し、残滓を数滴残したまま舞台暗転してこれで終わり。これが理想」
なんと惚れ惚れする言葉だろう。
(150918第120回)