世の中が非常に乱れてくると、型にはまった人間では役に立たない
安岡正篤
昭和33年におこなわれた記念講演での記録より、安岡正篤が「人間とは何か」を語ったときの一節である。
では、どういう人間なら役に立つというのか。
「常識的な平凡な者ではどうにも話にならぬ。型破りな、自由で革新的な人間が過去の沈滞を破って新しい時代を創造する」
なるほど、型破りな人間か。といっても、荒くれ者では危険だろう。
「新しい時代を創造する人物は、知識や技術の学問からは生まれない。智慧の学問、徳の学問から生まれるのだ」
安岡は言う。
「沈滞は生命の麻痺」だと。
機械的な動作を続けていると眠くなるように、型どおりの平凡な時代が続くと沈滞し、生命はどんどん失われ、やがて衰退が始まる。
新しい時代を生き抜くためには、これまでの知識や技術を智慧に変える必要がある。
(151010第127回)