平易なもののなかにこそ、ほんとうに深いものは存在している
筑波大学名誉教授であり遺伝子工学の世界的権威でもある村上和雄氏は、著書『幸せの遺伝子』で、日本人が大切にしてきた見えないものへの感謝と祈りの言霊が、幸せの遺伝子をオンにするのだと言っている。
つまり、われわれが何気なく使っている「ありがとう」「おかげさま」「いただきます」という「ひらがな言葉」が、眠れる力を引き出すというのだ。
一時、「ありがとう」を唱えるだけで幸せになれるという本が話題になった。言葉に心がこもっていなくても、「ありがとう」という言葉を繰り返すだけで幸せに導いてくれると。
実際、良いことがあったときはもちろん、嫌なことや辛いことがあったときなど、あえて心のなかで「ありがとう」を何度もつぶやいてみると、心は不思議と癒やされていくし、そのあとにはそれなりに良いことがあったりする。
正確に言えば、良いこと悪いことに限らず、どんな出来事もありがたいと思えて感謝の気持ちでいっぱいになるのだ。脳が「ありがとう」の理由探しをするのだろう。このことを無意識に理解していたにちがいない先人たちの感覚には驚かされるばかりだ。
実証済みだから、だいじょうぶ。
騙されたと思って、一度、試してみてはいかがだろうか。
「愛」「生」「死」「神」「木」「火」「土」「金」「水」「空」「海」「風」など、子供にもわかる単純で平易なものは、そのまま真理である。
ものごとを複雑にしてしまいがちな大人にこそ、簡単な「ひらがな言葉」を使って幸せ遺伝子をオンにしてほしい。
(160201 第162回)