医者としての一番の素質は、治すべき病気、治してはならない病気、治らない病気を見分ける目を養うこと
ヒポクラテス
「医学の父」と呼ばれる古代ギリシャの医者、ヒポクラテス。
彼は、病気とは自然に発生するものであって超自然的(呪術や迷信など)な力や神の仕業ではないと考えた最初の人物である。
ヒポクラテスによれば、病気には「治すべき病気、治してはならない病気、治らない病気」の3つの種類があるというが、いかんせん人間は「病」と名のつくものはすべて治さなければ気が済まないようにできているらしい。
特に、昨今のどんな症状にも「〜病」と名前を付けたがる傾向は、そのような人間の心理をうまく利用しているようにも見える。
患者を増やし、私腹を肥やそうとする一部の医者たちの策略か。
そうとわかっていても手間を惜しんで即効性を求めてしまう人間の弱さゆえの現象か。
どちらも当たらずとも遠からずであろう。
何も病気に限ってのことではない。
この世に無駄なことなどひとつもないとするならば、どんな現象にも何らかの意味があるのにちがいない。
ヒポクラテスの言うように、病気如何が問題ではない。現象そのものを見分ける目を養うことが大切なのだ。
なぜそうなったのか。それに何の意味があるのか。それは修復可能であるのか否か。
目に見える現象がすべて悪いわけではない。それをどう捉えるかが問題なのだ。
(160323 第178回)