きみたちの大事な友人のなかに、ぜひとも加えてほしいのが孤独という友だ
内海隆一郎
前回にひきつづき、内海隆一郎氏の言葉を紹介しよう。同じく『父から娘に贈る「幸福論」』より抜粋した。内海氏の懐の深さが感じられる。
数回前にも「孤独」をテーマにした執行草舟氏の言葉を紹介したばかりだが、今回の言葉はもっとわかりやすいし、なんとなく親近感がわくのではないだろうか。
「同行二人」という言葉がある。
四国八十八ヶ所をめぐるお遍路で、巡礼者がかぶる笠に書き付けてある言葉だ。たとえ一人で歩いていても、弘法大師である空海さんがいつもそばに付き添って見守ってくれているから大丈夫ですよ、という意味である。
「孤独」と聞くと、寂しいだのかわいそうだのと多くの人は言うが、自ら好んで「孤独」を選ぶ人だっている。それはけっして強がりなどではなく、自分の心の内にいる「孤独」という名の大切な友と同行二人であるがゆえ、寂しくもなければ悲しくもない。かわいそうなどころか、むしろそれを楽しんでいるのだ。
「孤独」を感じたらしめたもの。
やっと本当の友人と出会えたと思って、「孤独」との時間を楽しんでほしい。
(160428 第190回)