自由は、命懸けのこと
堀文子
日本画家の堀文子さんは、若い頃から世界を旅し、一所不住で絵を描き続けてきた。100歳を目前にした今でこそ定住はしているだろうが、世俗から離れて自然を友とし、独立自尊で生きる姿は今も変わらない。
彼女のモットーは「群れない、慣れない、頼らない」だそうだ。
自らに由ると書いて「自由」。
その意味を『広辞苑』で調べてみると、「心のままであること」「思うとおり」などとあり、そのあとに「責任をもって何かをすることに障害がないこと」「社会生活で、個人の権利(人権)が侵されないこと」とつづく。
世間では、この「個人の権利が侵されないこと」を主張して、それが自由だと勘違いしている人は多い。(一昔前よりは少なくなっているのだろうか)
しかし、自由には責任がともなうということも、ちゃんと辞書には書いてある。
「自由というのは、人の法則に頼らず、しかしワガママ勝ってに生きることでもなく、自分の欲望を犠牲にしないと、本当の自由はやってきません。ですから、命と取り替えっこぐらいに大変なことなのです」
堀さんが「自由は命懸け」と言うのは、自身が身を以て体験しているからだろう。
自由を手にして生きている野生の生き物たちを見ても、その理由はよくわかる。
彼らは命懸けで毎日を生きているのだから。
(161001 第241回)