誰もが天才だ。しかし、魚の能力を木登りで測ったら、魚は一生、自分はだめだと信じて生きることになるだろう
アルベルト・アインシュタイン
ベロだし顔の写真で有名なアルベルト・アインシュタイン。相対性理論などを提唱した世紀の大天才は、誰もが天才であると豪語する。
前回取り上げたポール・スミザー氏の言葉と同じような意味合いだが、アインシュタインの言葉は、もっと具体的でわかりやすいのではないだろうか。
人間の進化の過程を見れば、魚もあと数万年もすれば木登りができるようになるだろうし、そのころには「木登りの天才」も誕生しているかもしれない。
しかし、今生をまっとうするなら、それは無理な話。
魚は泳ぐ天才。
水の中にいてこそ、その能力を発揮できる。
ひとたび陸へ釣り上げられれば、あっという間に死んでしまう。
魚は魚。鳥は鳥。リンゴはリンゴで、かぼちゃはかぼちゃ。
それぞれがそれぞれの特性、持ち味を生かして生きているから、この世界はバランスがとれている。
生きるために進化してきたとはいえ、人間だけが能力を使い分ける器用さを持ち合わせ、そのために苦しむ結果となってしまったのは、なんとも皮肉なものだ。
進化する前とは言わないが、分別がつく前の子供のころ、自分は何が好きで、どんなことに没頭没我していただろうと思い出してみてはいかがだろう。
(161007 第243回)