ヒツジはどんな草を食べたか、吐き出して見せたりしない。ただ、食べたものを消化して乳を出すだけだ
カール・ヒルティ
以前にも紹介した『幸福論』でお馴染み、スイスの法学者であり思想家のカール・ヒルティの言葉である。
世にある数多の「幸福論」の中でも特にヒルティの「幸福論」が支持される理由は、幸福感を味わうための具体的なヒントが多くちりばめられているからだろう。だからといって、ヒルティの解く「幸福への道」が特別なのではない。本質はどれも同じなのだ。
「結果は後からついてくる」
この言葉が言っているのは、そういうことだ。
何を食べたか。
どんな仕事をしたか。
どういう日々を送っているか。
その結実はおいおいわかる。
早ければ数日後、あるいは数ヶ月後、数年後、機が熟すまでなら数十年後といったように。
物事には順序というものがある。
もちろん、先回りして想像する未来を引き寄せるという方法もあるだろう。
だけどもヒツジはどんな乳を出そうかなどとは考えないし、「こんな良い草食べてんだ〜」なんて、わざわざ吐き出して自慢したりもしないはず。
だいたい見せられても困る。
どうせ見せてくれるなら、良い草が生えている場所を見つける方法だとか、どうやって食むのか、出した乳を呑んで健康に育っている子羊たちの様子が見てみたい。
良く生きるためと何かを守るために一生懸命であれば、自ずと結果はついてくるものだ。
(161204 第262回)