読書の習慣を身につけることは、人生のほとんどすべての不幸からあなたを守る、避難所ができることである
サマセット・モーム
小説家であり劇作家のサマセット・モーム。以前、『月と六ペンス』から一節を抜粋したことがあった。今回は彼がおすすめする文学作品を集めた『読書案内』からの一節である。
「本離れ」と言われて久しい。
が、しかし、ほんとうにそうなのだろうか。
書店には毎日のように新刊がならび、最近の雑誌の特集記事は「本」を取り上げたものが多く、街を歩けば、オシャレなBook&caféが続々とオープンしている。
なるほど、読書は今や流行ファッションなのだろう。
単なる流行で終わらなければいいが…。
モームは読書の楽しみについて、こう述べている。
「知的な楽しみほど、長持ちがし、また満足がえられる楽しみはほかにないことを悟った者は、英知にとんだ人だといえよう。読書の習慣を身につけるがよい。人生の盛りをすぎてから、それをこころみて、しかも満足の得られるスポーツといっては、読書をおいてそうたくさんはない」と。
だが決して、なんでもいいとは言っていない。
「もし退屈な書物までよめというのであると、読書のための読書の習慣など、はたしてだれが身につけようとするであろうか」と、きっぱり言い切っているのだから。
良質な本を選ぼう。
いつまでも心に残る一冊を見つけよう。
自分を支えてくれる一冊があるだけで、「なにがあってもだいじょうぶ」と思えるのだから。
(161231 第271回)