仏神は貴し、仏神をたのまず
宮本武蔵
決戦前に神社に立ち寄り、勝利を祈ろうとした武蔵が自戒を込めて書き残した言葉がこれだ。
「神頼みをしようとする己の弱さこそが敵ではないか」と。
神社に行き、賽銭箱にお金を入れて願い事を唱える。
「宝くじが当たりますように」「どうか、願いが叶いますように」など、
一度や二度ならず、誰もがやっていることだろう。
「神さま、なんとかしてください」と。
「困ったときの神頼み」ほど、神様が困り果てることはない。
「おい、おい、勝手なことばかり言って甘えるんじゃない。わしはドラえもんじゃないぞ」
なんてことを思っているかどうかはわからないが、神様や仏様は万屋ではないことは確かである。
神や仏に畏敬の念は払っても、決して依存はしない。
「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」
大いなる存在に守られていることを信じ、己の力を信じて突き進む。
その精神と研鑽が神や仏の目にとまり、道は開いてゆくのだ。
(170121 第278回)