便利はラク、不便は楽しい
栃木県真岡市で鍼灸治療院「真岡はりきゅう整骨院」を営む大幡正志院長の言葉だ。
この治療院は東洋医療をベースにした治療が人気で、遠方から足しげく通う患者もいるという。
大幡氏は江戸人のように人生を楽しむ天才だ。趣味は旅と読書と銭湯巡り。好きなものは小さくて古い車、紀行文、伝統食、銭湯、古き良きもの。休日には自宅のある真岡市から東京日本橋まで歩き旅をすることもあったり、勉強会への参加など、自分なりの楽しい時間を謳歌している。
つくづく便利な世の中になったものだと思う。
自動車、電車、電話、パソコン、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、炊飯器……上げればきりがない。
「もっと効率よく」「もっと便利に」というのは、「人に優しい」が目的だったのだろう。
だが、便利な世の中が生み出したものは、本当に優しかったのだろうか。
大幡氏いわく、
「便利な世の中になることで、身体は退化するんです。足腰は弱くなり、筋力、体力、根性もなくなります、脳だって退化します。整形外科にお世話になっている人の多くは運動不足。運動しないツケがまわって早く劣化がはじまっただけです」
便利はラクだ。
だが、不便は楽しい。
なぜか。
不便な分、創意工夫をするからだろう。
今から考えると不便極まりない生活をしていた江戸人たちが、生活を楽しむ達人だったということが、それを物語っている。
今に生きる江戸人、大幡正志氏の生き方を学びたい。
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(170223 第289回)