自己の基準に従って責任を果たせば、世間の基準はいらなくなる
ニーチェやソロー、ボードレール、ウルフ、福沢諭吉、宮澤賢治、内村鑑三などに多大な影響を与えたとされるラルフ・ウォルドー・エマソン。
彼の言う「自己信頼」とは、内なる声に従えというものだった。
人間の内部には「全体の魂」が宿り、個人は無限であると説き、オバマ前大統領もエマソンの信奉者の一人だという。『エマソンの「自己信頼」』より抜粋した。
この著書の冒頭に、こんな詩があった。
「おのれの外に探し求むることなかれ」というものだ。
人は自身の星。
正直で完璧な人をつくる魂は、
あらゆる光りを、あらゆる影響を、あらゆる運命を意のままにする。
人の身に起こることは早すぎもせず、遅すぎもしない。
われわれの行いは、良いものも悪いものも、みずからの天使、
われわれのそばを静かに歩む、運命の影。
自分の身に起こることは早すぎもせず、遅すぎもしない。
自分自身の行いは、良い行いも悪い行いも、心の内なる神や仏の表れであると。
エマソンが言うには、自分自身を解放する手段には2つの方法があるという。
ひとつは自分の基準に従って、自分の務めを果たすのか。
もうひとつは、外の基準に従うか。
2つ目の基準を選ぶなら、どんなことがあっても他者に従い続ける覚悟がいる。
信念を貫こうと思えば、いやでも敵は増えるだろう。
それでも自分の心に正直に生きようとするなら、それは天地自然の創造主という偉大な見方をつけたも同然。
エマソンも、それは「他者に向かう道ではなく、普遍的な真理に従う道を歩むこと」だと言っている。
声高らかに彼は言う。
「生まれながらにそなわった力があるのに、弱くなってしまったのは、自分以外のどこかに良いものを探し求めてきたからだと気づくのだ」
(170505 第312回)