賢人は敵から多くのことを学ぶ
古代アテナイの喜劇作家であり風刺作家のアリストパネス(アリストファネス)は、ソクラテスやソフォクレス、エウリピデスらと同時代を生き、プラトンの『饗宴』にも語り手として登場している。この言葉は彼の喜劇『鳥』からの抜粋。今回は「いかにも格言」という格言を取り上げてみた。
わかりやすいと言えばわかりやす。
敵とは言わずとも、人は耳の痛いことはなかなか聞き入れられない。
それが苦手な人や快く思っていない人から言われたら、なおさらである。
でも、苦言というものは、おおかた当たっていることが多い。
それともうひとつ。
人というのは失敗から多くを学ぶ、というのもわかりすぎるくらい、わかること。
それなのに、どういうわけか、人は成功者の「こうすればうまくいきますよ」というハウツーを知りたがる。
なぜなんだろう?
夜行性の虫が煌々と光るランプめがけて飛んでいくように、どうやら人はきらりと光るものに目がないらしい。
しかし、ほんとうに賢い人は成功例以上に失敗例から学んでゆく。
なぜ失敗したのか、あの人のどこに落ち度があったのか。
ひとつの輝かしい功績の裏には、数え切れないほどの失敗があるのだから。
それを知ることは、自分が失敗する数以上のものから学ぶことができる。
成功本の数ほど人は成功していないというのなら、失敗のハウツー本があれば、もっと人は成功を手にできるかもしれない。
まずは敵を知ること、失敗を知ることを心がけてみてはどうだろう。
(170508 第313回)