日本人として覚えておきたい ちからのある言葉【格言・名言】
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紺碧の将

人間が平等であるなんて幻想である。平等なんて気持ち悪い。退屈である

佐野洋子

 ヨーコさんの登場である。辛口なトークが小気味よく、絵本はもとより、彼女のエッセイファンは多い。辛辣な言葉の中にも愛を感じさせるのは、彼女自身が愛の塊だからか…。そんなことを言ったら、あの世から石を投げつけられそうで恐ろしい。それでもやっぱり、彼女の描く絵や文章は、生死を超えた神の愛に満ちあふれているように思う。(石は投げないでね、ヨーコさん)著書『ふつうがえらい』から抜粋した。

 

 想像してみてほしい。

 世界中の木が、みんな桜だったら。

 世界中の花が、みんな薔薇だったら。

 クリノキでもタンポポでもいい、世界中の植物がみんな、等しく同じだったら・・・。

 虫も鳥も獣もそう。

 石っころだってそうだ。

 それに、街中ですれちがう人が、みんな同じ服を着て、同じ靴を履いて、同じバッグをもって闊歩していたとしたら・・・。

 あぁ、きもちわるい。

 

 当たり前だが、人間、みなちがう。

 姿形だけではない。

 心のあり方、思考の仕方、感情の浮き沈みなど、どれひとつとして、まったく等しく同じものなどない。

 

 水族館で泳ぐ魚たちを見て、神秘を感じる人もいれば、食卓に上りそうな魚を探す人もいるだろう。

 そもそも、水族館の海を模した巨大な水槽の中にこそ、世界の姿が凝縮されているではないか。

 いろんな魚がいるから、水族館は楽しいし、おもしろい。

 動物園だって、植物園だって、人が集まるってことは、みんないろんな種類の生き物が見てみたいのだ。

 

 自然のありのままの姿に癒やされるのは、そこに不自然な等しさがないから。

 等しくあるのは、命の激動と輝きのみ。

 その激動に耳を傾け、その輝きを感じてみよう。

 命はなんて叫んでいるだろう、輝きは薄れていないだろうか。

 

 これは平等って言ってもいいですよね? ヨーコさん。 

(170915 第354回)

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