人は自分が幸福であることを知らないから不幸なのである
ドストエフスキー
ロシアの文豪、フョードル・ドストエフスキーの言葉だ。賭博癖と浪費癖のあったドストエフスキーは、お金が入るとギャンブルで使い果たし、常に借金を抱えていたという。バルザックと並んで借金まみれの大作家としても有名である。代表作『罪と罰』は、借金で首が回らなくなり、落ちるところまで落ちたときに生まれた作品だというのだから面白い。
幸、不幸は心持ち次第。
同じ状況におかれても、幸せと感じる人もいれば、不幸と感じる人もいる。
性格の問題もあるだろう。
けれど、それだけでかたづけてしまうのも、いかがなものか。
空を仰いで胸一杯に深呼吸する心地よさ。
道ばたに咲く可憐な花を見つけたときの喜び。
炊きたてのご飯をほおばる至福のとき。
「おはよう」「おやすみなさい」と言える相手がいることの幸せ・・・。
何がなくても、何気ない日常にあふれるささやかな喜び。
世界はこんなにも小さな幸せに溢れているのだ。
不幸の原因ばかりを探しているかぎり、不幸は続く。
幸せになりたいなら、日常にころがっている幸せの数を数えてみよう。
借金まみれのドフトエフスキーだって、自分は不幸だと思っていたら、あんな大作は書けなかっただろうから。
(171009 第362回)