ただ「勝ちたい」ではなく、負ける覚悟ができて初めて本当の強さが出る
原辰徳
元プロ野球選手で、元ジャイアンツ監督の原辰徳氏の言葉だ。
この言葉の後、「いわゆる『覚悟の心理』とは、そういうものだと私は理解している」と続く。
世の中は、勝った負けたの勝負の世界。
強いものが勝ち、弱いものが負けるという、弱肉強食が繰り広げられる。
では、本当の強さとは何か。
老子いわく、
「柔は剛に勝ち、弱は強に勝つ」
本当の強さとは、弱さを知っているということ。
生まれたばかりの赤ん坊は、か弱いがゆえに守られる。
自らの弱さを知っているから、一人では生きていけないのだと、命のかぎり泣き叫んで訴える。
生命力の強さのなせる技か。
辞書によると、
覚悟とは、あきらめであり、迷いを去って道理を悟ることだという。
負ける覚悟。
それは、死ぬ覚悟と同じ。
自分はこれで死ぬのだと覚悟を決めたとき、信じられないほどのパワーがでる。
火事場の馬鹿力である。
勝ちたい、獲得したいという思いにガチガチに囚われたら、一旦、その思いを手放してみよう。
負けてもいっか・・・と力が抜けて、心も体も柔らかくなり、その瞬間を、命あるかぎり楽しむことができるだろう。
そのときこそ、本領発揮のときなのだ。
(171021 第366回)