古典を読んでわからなければ、自分をアホだと思いなさい。新著を読んでわからなければ、著者をアホだと思いなさい
ライフネット生命保険株式会社代表取締役、出口治明氏の大学時代の恩師、高坂正堯さんの言葉だそうだ。
希代の読書家と知られる出口さん。読んだ本の数は有に一万冊を超えるという。出口さんいわく、人間が学ぶ方法は3つ。人・本・旅から学ぶ。
「生きた人間に会って、その人の話を聞いて学ぶ。古今東西の本を読んで学ぶ。世界中のいろいろな場所を自分の足で歩いて学ぶ」
この3つの方法からしか人は学びようはないのではないか、と。
文章も人に伝わらなければただの文字の羅列。
読み手の感性や教養が加味されたとしても、相手に伝わってこその文章である。
話言葉だってそう。
言いたいことを伝えるためには、端的に、シンプルに。
書類も会議も、膨大な時間や労力、人材を使えばいいというものではない。
少ない人数で、限られた時間や資材、資金だからこそ頭を使って考える。
無駄を削れば先鋭になるということ。
古典がなぜ読み継がれているのか。
それは、物事の本質、人間の真実、この世の真理がシンプルに説かれているから。
古典を難しく感じるのは、時代背景や言葉の定義が違うからだと、出口さんは高坂先生に教えられた。
時代背景や言葉の定義の違いを学べば、古典ほど簡潔な書物はないのだと。
新著を読んでわからないのは、時代背景も言葉の定義も同じにもかかわらず伝わってこないのだから、著者の独りよがり的な部分は大きいだろう。小難しい単語の羅列をすれば、それなりに知的な著書にも思える。
ああ・・・しまった。
つらつらと書いてしまった。
要は、学べば学ぶほど、すべてがシンプルになるということだ。
(171112 第373回)