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紺碧の将
Interview Blog Vol.27

農業の将来を見据えて、業界を盛り上げていきたい。

半田農園半田貴也さん

2017.11.21

 

栃木県宇都宮市大谷町で農園を営む半田さん。30歳で就農し、グリーンアスパラガスを主軸に、甘みや味の濃さにこだわった美味しい野菜には多くのファンがいます。トラクターもハウスもない状況から、農業を始める決意をするまでの道のりはどのようなものだったのでしょうか。

グリーンアスパラガスを中心に

グリーンアスパラガスを主軸にしていますが、最初にアスパラを選んだのはなぜだったのでしょうか。

 どの野菜で農業を始めるかはかなり悩みました。農業振興事務所で相談もしましたが、例えばイチゴとか、栃木で有名な品目は、あえてやりたくなかったので、最終的には半ば直感でアスパラを選んだのです。

 また、友人のお母さんが女性農業士で、アスパラをやっている農家さんを偶然知っていたため、そこを紹介してもらえたというのも選んだ理由の一つでした。

しばらくはアスパラのみだったのですか。

 借金をして農業をスタートしましたから、トラクターもハウスも、なにも持たない状況で始めました。まずアスパラを軌道に乗せることが先決で、よそ見ができる状況ではありませんでした。

実際に始めてみてどうでしたか。

 どの野菜にも言えることですが、最初は苦労しました。アスパラって土壌の消毒ができないんです。病気になると苗を作り直さなければならなくなり、次に収穫できるようになるまでに3年以上かかってしまうのです。実際にそうなったことがありましたが、その時は大きな被害がでました。

 経験がものを言う世界ですから、始めたばかりの頃はアスパラをやっている農家さんを見つけると、面識がなくても積極的に話を聞きに行きました。競争相手でも、熱意をもって接すると親身になって教えてくれるのが嬉しかったですね。

その後、アスパラが軌道に乗り、他の野菜づくりも始まったのですね。

 知り合いの農家さんから、ハウスを譲ってもらったのを機に他の野菜づくりも始めました。その頃にはアスパラも軌道に乗っていましたからね。

 生産・出荷がアスパラと被らないような野菜を選びながら徐々に拡大をしていきました。年間を通してアスパラ以外の野菜を出荷できるようになったのは最近のことです。

経験が農業を始めるための大きな財産になった

就農するきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

 生き物が好きで、農業高校へ進学しましたが、将来、農業をやろうとは考えていませんでした。なりたい職業というのも特にはなかったですね。

 卒業後は洋蘭を取り扱う会社に就職し、東南アジアで6年ほど勤めました。現地の人はハングリー精神が凄いというか、ギラギラとしたエネルギーを感じるんです。それに感化されて何か新しいことに挑戦したい、自分で何か始めてみたいという気持ちが芽生えたのを覚えています。

 その後、その会社を退職して、帰国後に同じ洋蘭関係の会社に就職しましたが、結局そこも辞めて、自分で農業を始めることにしました。何か始めるなら食べ物関係をやりたいなって思いました。そうするとやっぱり農業かなって。

高校卒業後、いきなり海外で勤務というのは大変ではありませんでしたか。

 人生で一番大変な時期でしたね。人を見る目が若かったというのもありました。やっぱり悪い人っているんですよ(笑)。東南アジアではそういう人との関わりが多くて、精神的な負担が大きくなっていきました。

 でも、親身になって優しくしてくれる人たちもいました。今こうして農業をやっていられるのは、その人たちのおかげと言ってもおおげさではありません。

 あの時に酸いも甘いも経験できたことは大きな財産になっています。

今となってはそれが良い経験だったということですね。

 自分で何か始めたいと思えるようになったのは東南アジアに身を置いたからですし、そこで人とのつながりの大切さを学ぶことができたのです。当時、優しくしてもらった人たちとは、今でも連絡をとっていますよ。

 今思えば、農業にたどりつくまでに遠回りをしたと思います。でも、高校卒業後すぐに農業を始めていたら、必ずどこかで大きな失敗をして農業を辞めていたでしょうね。

 自分の責任でやっていくんだ、前に進むんだっていう熱意を持っていないと、楽しく農業をやっていくって難しいと思うんです。

 そういう気持ちって農業以外でも苦労をしてきた経験があるからこそ得られるものなんですよね。

農業を盛り上げたい

今後の目標はありますか。

 農園の規模を広げていきたいと思っています。日本の農業人口って十年後には十分の一になってしまうと言われています。業界全体を考えた時、将来食糧危機が起こることだってないとは言いきれません。

 だから自分の農園から業界をもっと盛り上げていきたいですね。農業をやる人が増えて、業界に日が当たるようにしていきたいと考えているんです。

具体的にはどのような展開を考えていますか。

 やりたいことはいっぱいあるんですよ(笑)。

 例えば野菜狩りができる観光農園をつくりたいんです。誰でも気軽に農業に触れてもらえて、美味しい野菜が手に入る場であることはもちろんですが、これから農業を始めたい人の育成の場にもできると考えています。この部分の管理は任せるからまずやってごらんと、そういう形で最初に経験をしてもらい、いずれは独立して自分の農業をやってもらうような流れができると理想的です。

 あとは75歳以上の高齢の人たちが、集まってお話でもしながら梱包などの軽作業をして、少しでもお金を稼げるような、気楽に働ける場所を提供できるようにしたいです。

 農業の門戸を広げて、エネルギーを持っている人たちが挑戦できる場をつくって、将来的に農業が盛り上がってくれれば最高ですね。

 

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