われもひとも うそもまことも へだてなく てらしぬきける つきのさやけさ
貞心尼
良寛の最晩年に付き添った貞心尼。良寛を師と仰ぎ、和歌を交わすようになってからの、彼女が良寛に贈った歌の一首である。
時代とはいえ、交換する言葉の手段の違いに、あらためて心の豊かさの違いを思う。
わたしもあなたも、嘘も真実も、すべてをわけへだてなく照らす月。
お天道様の太陽も同じ。
どんなことがあっても、空には太陽も月も星たちもいる。
朝も夜も、どこに行こうと、いつも付き添い見守ってくれている。
たとえ雲で隠れていても、ちゃんとそこにいてくれる。
陽の光は元気の素のエネルギーを与え、暗く沈んだときは月明かりでやさしく包んでくれる。
だいじょうぶ、だいじょうぶ。
ずっと見守っているから、安心して歩みなさい。
あなたの思うように、歩みなさい。
顔をあげて、足もとをみて。
空から声が聞こえてきそうだ。
(180312 第411回)