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紺碧の将

人は自ずといちばん適した方法で魂の自由を表現していく

伊勢英子

 画家で絵本作家の伊勢英子さんの言葉を紹介。著書『カザルスへの旅』から抜粋した。音楽と旅が好きだという彼女はセロ(チェロ)弾きでもある。今は亡き憧れのセロ奏者、パブロ・カザルスの足跡をたどり単身スペインへ。そこで出会った数々のカザルスの思い出と心象風景を、絵描きの彼女は絵筆をペンに変えて描きだす。
 
「自分にはこれしかない」と思える何かがある人は幸せだと思う。
「それ以外のことは全くダメだけれど」がオマケでついてくれば最高に。
 もちろん、なんでもできるに越したことはないけれど。
 
 人生の早いうちに「これが好き」と思うものを見つけられた人は、多少、横道に外れても基本的な軸はブレないだろう。
 ところが、多くの人はその軸を見つけるのにあくせくする。
 特に、現代人は「ブレない軸」への憧れが強い。
 
 では一体、「ブレない軸」とはなんだろう。
 思考や行動、信念、志・・・など、自身を貫く一本の筋だと世間では言われている。
 そうかもしれない。
 
 ではなぜ、「ブレない軸」が必要なのか。
 精神のバランス、行動の安定、人生の舵取り・・・。
 いろいろあるだろう。
 
 だけど本当に人が求めているのは、「ブレない軸」などではなく、「魂の自由」ではないだろうか。
 
 寝食を忘れるくらい没頭できるもの。
 しがらみや束縛から解放される自分だけの特別な時間。
 物理的に不自由であっても、心は広大な宇宙を旅するように自由になれるもの。
 がんじがらめの魂を解き放てる何か。
 
 体という器に閉じ込められた魂はきっと、もっと広い世界を旅したいと思っているのに違いない。
 魂の自由を求めて。

 自由になった魂は、国境も老若男女の別も、地位や権力などの貧富の差、果ては動植物の境目さえもすっ飛ばして、ひとつになれることを知っているから。
 
 一人ひとりの人生にストーリーがあるように、人は誰もが表現者であり、人生の主人公である。
 絵描き、セロ弾き、もの書き、と表現方法はいろいろある。
 紆余曲折しながらも人生を歩み続けていくのは、自由に羽ばたきたいと願う魂の叫びなのかもしれない。
(180711 第448回)

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