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紺碧の将
Interview Blog vol.69

いつだって音楽とともに、後悔しない生き方を歩んでいく。

ヴォーカリスト岩田留美子さん

2019.01.25

 

教員とジャズヴォーカリストの2つの道を進み、現在は音楽の道に専念。自身の音楽教室「La Vida(ラ・ヴィーダ)で後進の指導にあたりながら、宇都宮・都内のジャズクラブをはじめ、さまざまな舞台でライブやコンサートにも出演し精力的に活動をしている岩田留美子さん。2018年7月には日本ジャズ界の重鎮、稲垣次郎氏のプロデュースでCDデビューも果たしました。

音楽活動の道へ進むために

ジャズヴォーカリストとしてCDデビューも果たし、ライブ活動を中心にさまざまな舞台でご活躍中ですね。ヴォーカリストとして活動することは小さい頃からの目標だったのですか。

 子供の頃からピアノをやっていて、音楽はずっと身近にありました。何か音楽関係の仕事に就きたいと思ってはいたんです。でもジャズヴォーカリストの道を歩むなんて、子供の頃は想像していませんでしたけどね。

 高校生になってもピアノと声楽は続けていましたし、ロックバンドも組んでいたんですよ。ずっと傍らには音楽があって、どんどん好きになっていった。結果として今、ヴォーカリストとして活動をしていますが、音楽関係の道に進んだのは必然だったと思います。

高校卒業後は教育学部に進学、卒業後は教員になられています。やはり将来を見据えての進路だったのでしょうか。

 将来を見据えてとか、明確な目的があって教員になったわけじゃないんですよ。教育学部に在籍していたので、自然と教員の採用試験を受ける流れに身を任せたというか(笑)。

 それに大学を出ていきなり音楽活動一本では生活できませんから。いずれにせよ、就職をする必要があったわけです。

 教員として26年間勤めましたけど、やってよかったと思いました。人とのつながりが多い仕事ですし、当時の教え子や親御さんが自分の音楽教室に習いにきてくれたり、ライブやコンサートに聴きにきてくれたり……。その道に進んだからこそ得られた財産です。

教員になった当時は音楽活動についてどういった将来像を描いていましたか。

 ジャズとは大学生のときに出会い、教員になってもその活動は続けていました。それもあって、教員になった当初から、定年までは勤めずにある程度の区切りで本格的にジャズの道へ進みたいと考えていました。退職後は音楽教室を開いて自分が経験してきたことを生徒に教えながら、ジャズの活動ができたらいいなと思っていました。

しかし、26年間務めた教員を辞めるのは大きな決断だったと思います。悩むことはなかったのですか。

 いざ辞めようと思うと、それなりに責任もありましたし、やっぱり悩みました。でも40代のうちに新しい道に進みたいと思っていましたから。それ以上キャリアを重ねて管理職になると音楽活動の時間が削られることは間違いありませんし、本格的に音楽一本でやっていくならそこがギリギリかなって。

 迷ってはいましたが、学校を異動することになって、これがいい区切りになりました。このタイミングがベストだと思い、辞める決断ができました。

ジャズに魅せられて

クラシック(ピアノ)に声楽にロックバンドと、さまざまな分野の音楽に触れながらも、最終的にはジャズを選んだのはなぜだったのでしょう。

 大学生の時もロックバンドはやっていたんですが、ジャズサークルの友だちに、コンサートをするのに歌の部分で協力して欲しいと声をかけられて歌うことになったんです。それがジャズとの出会いでした。それまでは触れたことも聴いたこともないジャンルだったんですが、それからはだんだんと、バンドよりジャズに傾いていき、やるほどにジャズの魅力に惹かれていきました。

 それに社会人のビッグバンドと学生のビッグバンドはコンサートで一緒になることが多く、「卒業したらウチに来るんだよね?」ってお誘いを受けるんです。大学卒業後に自然と道が開かれていたのも、ジャズの道に進む大きな要因でした。

ジャズの魅力とはどんなところですか。

 音楽の中に自由があるんです。例えばクラシックだったら模範があって、それに沿って練習しますけど、ジャズの演奏はアドリブもあるし、歌もリズムを変えたりメロディーを崩してみたり、自分の個性を出せる。やればやるほど、新しい発見があってその奥深さには驚きます。あとは何歳になってもその気になれば続けていけるところも魅力の一つですね。

 いろいろな音楽に触れてきましたけど、最終的にはジャズが一番楽しかったんです。

音楽活動に専念されてから3年でCDデビュー。日本ジャズ界の重鎮である稲垣次郎氏がプロデュース、ジャズピアニストであり編曲家・指揮者・音楽監督と幅広い分野で活躍した巨匠、故・前田憲男氏がピアノで演奏に参加、ジャズに詳しい人はそのメンバーに驚くのではないでしょうか。

 ほんとうにこのメンバーでCDを作ったの!?ってよく驚かれました。稲垣氏とは教員時代にたまたま知り合うことができて、都内で何度か演奏をご一緒させてもらう機会があったんです。教員を辞めてからは頻繁に演奏をすることができるようになって、それでCDを作ってみないかってお声掛けをいただいたんです。ほんとに偶然が重なってというか、ご縁とタイミングがバッチリ合ったから出せたCDなんです。

 いずれは自主制作で出せたらいいなと思っていたのが、まさかこんなに素晴らしい形で出せるなんて思ってもいませんでした。新人がこれほどのビッグネームに演奏してもらえることはないんです。たまたまご縁をいただけて、いろんなめぐり合わせの中でこのCDが生まれたことは僥倖だと思っています。

前田憲男氏は岩田さんのCDがラストレコーディングだったそうですね……。

 亡くなられたのが2018年の11月。レコーディングは2018年の4月でした。そのときはお元気だったんですけど……。まさかこれがラストレコーディングになるとは思っていませんでした。なんて貴重な宝物をいただいてしまったんだろうって。そういう意味でも格別な思いのあるCDになりました。

仕上がったCDをご自分で聴いてみてどう感じましたか。

 自分の歌に関して言えば、後悔の連続ですね(笑)。レコーディングは初めての経験だったんですけど、現場の雰囲気もよく、あまり緊張もせずにリラックスして臨めたんです。でも、仕上がったCDを聴いてみると「ここはこう歌えばよかった」っていう部分はキリがないほどありました。ライブだとお客様の盛り上がりとか場の雰囲気とか、全体の空気感で仕上がりを判断しますけど、レコーディングって演奏オンリーの中で歌うんです。それはもう別物って感じましたね。貴重な経験ができたと思います。

後悔をしたくないから、挑戦をする

音楽活動の道に専念されてから3年、今のご感想をお聞かせください。

 レコーディングを含めていろいろな経験をさせていただいて、おかげさまで歌う機会も増えてきました。もちろん教員を辞めたときは「これから大丈夫かな」という不安はありましたけど、今となっては何も後悔していません。

昼は音楽教室をやりながらそれ以外の時間で音楽活動をされているのですから、教員時代よりも忙しくなったのでは?

 そうなんですよ(笑)。でもある程度の時間調整は自分の判断でできますし、充実感を感じます。忙しくなったというより、楽しい時間が増えたということなんでしょうね。

先を見据え、決断をし、臆せずに挑戦することで道を切り拓いているように感じますね。

 後悔をしたくないから挑戦をする。それが私のモットーです。迷ったらまずやってみよう、ダメならしょうがないって。そう思った方が後悔しない生き方ができると思うんですよね。失敗したっていいじゃないですか。それを次の成功につなげればいいんです。失敗を恐れて挑戦しないことの方がよっぽど後悔しますよ。

 教員のときは立場上、ある程度は周囲の目も気にしないといけないので守りの姿勢であることが多かったです。でも今の立場では守りに入ってしまうと歌も生き方もつまらなくなってしまうんですよね。だから後悔しないようにどんどん攻める。挑戦することが大切だと思っています。

活動の場を広げたい

ヴォーカリストとして、ふだんから学んでいることや気をつけていることはどんなことでしょう。

 音楽教室で人に教えることが自分にとってもトレーニングになっています。教えることで逆に気づかされることっていっぱいあるんです。いろんな生徒がいて、ちょっとしたことをきっかけに自分の世界観も広がっていくんですね。

 あとは他のヴォーカルの歌を聴いて勉強します。技術的な部分、例えばフレージング(旋律の区切り方)やフェイク(崩して歌うこと)とか、取り入れてみたいと思った技術は積極的にやっています。

 それと新しいことにもどんどん挑戦すること。例えば趣味でフラメンコをやっているんですけど、ジャズとミックスして新しいジャンルを創造してみたり。

ご趣味のフラメンコもまたジャズに活かされているんですね。フラメンコはどのくらいやっているのですか。

 20年くらいやっていますね。教員時代に内地留学の制度があって、半年ほど大学に通ってスペイン語の勉強をしたんです。フラメンコの音楽は以前から聴いていたし、興味があったので、それをきっかけにやってみようかっていうのが始まりでした。いざやってみるとすごく面白くて。

 フラメンコはリズムが重要で自分の音楽活動にも幅が出ますし、フラメンコの歌とジャズの曲をつないでいろいろ試したり、新しい表現のきっかけにもなりました。実際にライブもやりましたし。今の音楽活動とうまくリンクしてくれています。

今後の目標をお聞かせください。

 大きな目標というよりは、一歩ずつ進んでいって、活動の場をもっと広げていきたいと思っています。今は基本的に地元密着型で、都内で時々ライブをやらせてもらっているくらいなので、もっといろいろな場所で歌う機会をもらえるようになりたいです。

 それにはまず歌を聴いてもらわないといけませんから、CDを一人でも多くの人に聴いてもらえたら嬉しいですね。

Information

【音楽教室 La Vida】

〒320-0851 栃木県宇都宮市鶴田町3602-3

TEL 090-3594-5322

mail:rumi-ko.1224@ezweb.ne.jp

 

【CD La Vida / ラ・ヴィーダ】

ジャズ・ヴォーカリスト岩田留美子が情熱的に唄う、世界の恋の歌。

稲垣次郎(ウィンドブレイカーズ)プロデュース、前田憲男(ピアノ)が参加。

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