艱難にあって初めて真の友を知る
カエサルと並ぶ散文詩の名手だったマルクス・トゥッリウス・キケロの言葉を紹介しよう。古代ローマの政治家として名を馳せ、文筆家や哲学者としても博学多才であったキケロ。その雄弁さにおいて、右に出るものはいなかったという。のちの西欧思想に多大な影響を及ぼした重要人物でもある。
いい時というのは、人も物も集まってくる。
ところが、
運のめぐりが悪くなり、困難なことが降りかかってきたり窮地に陥ったとたん、人も物も潮が引くように去っていくのは世の常だろう。
真実の友を知る最良の機会は、艱難なとき。
辛く苦しい時に、側にいて親身に心配したり力を貸してくれる友ほど、ありがたいものはない。
人生いいことばかりではない。
天は乗り越えられない試練は与えないという。
だとしたら、艱難にあうのは、きっと天に試されているのだ。
その生き方でいいのか。
その道でいいのか。
それを極められるか。
それは必要なのか。
すべては、それぞれにとっての「真なるもの」を見極めるため。
苦しい時に出会った生き方があるように、友は人とはかぎらない。
本であったり、音楽や美術、思想哲学、動植物ということもあるだろう。
一服のお茶に癒され、助けられることもある。
苦しい時に出会ったものは、おそらく裏切ることはない。
今が苦しい時と思うなら、真摯に苦しさと対峙してみてはどうか。
きっと、真の友を得ることができるはず。
(190407 第528回)