人間の生活で一番重要なものは、物の交換でなくて、気の交流であるといっても過言ではない
「整体」という言葉を世に広めた野口整体の創始者、野口晴哉の言葉を紹介。人がもつ愉気によって身体の治療を行い、独自の手当の方法を構築した野口は、一日に200人もの治療を行ったこともあったそうだ。まさに身体を知り尽くした神の手をもつ人物だった。中でも、人それぞれにある「体癖」を体系化したことは特筆すべきことで、人体が「気」の集まりだということを証明している。
不思議なことに、同じおむすびでも握る人によって味は変わる。
その人だけがもつ何かによって。
母親のおむすびと自分で握ったおむすびは違うだろうし、
おばあちゃんのおむすびともまた違う。
好きな人が握ってくれたおむすびは食べる前から美味しいし、
見た目も味も文句なしだろうと思うものでも、嫌いな人がつくったものはなんとなく食べる気がしない。
つまり、気分によって味も変わるということだ。
戸外で食べる味と、家の中で食べる味が違うように。
食事だけではない。
何をするにしても、どこに行くにしても、誰と一緒かで中身は変わる。
「ちょっとある人にあったことで急に元気が出てきたり、ある人が見舞いに来たら、急にショボショボしてしまった、ということはたくさんあります。それはみんな、自分の体の中の気の動きで変わったり、人の体の気の動きで変わったりするのです」
天気、電気、元気、病気、陽気、陰気、勇気、本気、平気、生気、殺気、景気、気品、気風、気質……。
気のつく言葉をあげればきりがない。
人はつくづく、「気」に囲まれて生きているのだと実感する。
そもそも空気がなければ生きていけないのだから。
人にしろ物にしろ、気が合うか合わないか。
良くも悪くも、自分の「気」と相手の「気」が通じ合って気の集合体が生まれる。
「引き寄せの法則」というのも、言い換えれば「気の引き寄せ」だ。
良い気も悪い気も、自分自身で引き寄せている。
どんな気をまとっているのか。
目には見えなくとも、
身のまわりを見渡せば、自分の気の状態がわかるだろう。
今回は、「朧月夜」を紹介。
「おぼおぼ」という擬態語から派生したと言われる「朧(おぼろ)」。ぼんやりと、はっきりしない様子を表しています。続きは……。
(200410 第631回)