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紺碧の将

幸福になる人は「怒らない」「悲観しない」「恐れない」

中村天風

 メジャーリガー大谷翔平選手も心酔する思想家、中村天風の言葉である。弟子の一人である宇野千代氏がまとめた『中村天風の生きる手本』から引用した。
 インド修行で聖者と出会い、ヨーガを通して悟りを開いたという天風。重い病を克服したのは「いのちの力」を信じ、「心身統一法」を実践したゆえだと天風会を創設。海軍大将の東郷平八郎や平民宰相の原敬、他にも松下幸之助など数多くの偉人たちが天風に学んだという。

 

 中村天風は「欲」を否定しない。
 むしろ「欲」こそが生きる力だと語る。
「欲を捨てろ」という消極的な生き方よりも、積極性を発揮し、人間としての進化や向上につながる「楽しい欲」を燃やして前向きに生きろと説く。

 

 お金がそうであるように、欲も使いよう。
 使う人のセンス、教養が問われる。

 

 また、天風はこうも説く。
「人間には、辛がったり苦しがったりする方の自分と、喜びと感謝で生きられる方の自分とがある」

 

 ある人が「不機嫌な人は環境汚染だ」と娘に言っていると聞いて、なるほどと思った。
 環境が汚染されたところに近づこうと思う人はいないだろう。
 人が離れていくのも無理はない。
 
 人間は感情の生き物だから、知らず知らず不機嫌をばら撒いていることがある。
 負の感情は伝染力が強い。
 とりわけ悪い出来事が重なると瞬く間に心身を蝕んでゆく。

 

 天風もそうだったらしい。
 病に侵されて以来、負の感情に支配され、人生に絶望した。
 それを克服したのは、
「いのちの力」に気づき、「喜びと感謝で生きられる方の自分」を選び、「楽しい欲」をもって自己向上に努めたからだ。

 

 心もち一つで病の苦しみからも解放される。
 どこでもいつでも幸せになれる。
 そのことを悟り、真の幸福を手に入れ後半生を十全に生き切ったのである。
 
 天風は言う。
「なにごとに対しても、現在感謝。いま生きていることがありがたいと思って、現在もっているものを価値高く感謝して、それを自分のものにしてゆきなさい」
 
 悲観、恐れ、憎しみ、恨み、嫉妬、煩悶、苦悩、憂愁。
 これら消極的感情や情念をなくすことで、幸福はいつでも手に入るのだから、と。

 

●神谷真理子(本コラム執筆者)公式サイト「ma」

 

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 今回は「彩雨」を紹介。 画家の造語でしょうか、川合玉堂の代表作に『彩雨(さいう)』という雨にけぶる紅葉の風景を描いた作品があります。続きは……。

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(210626 第728回)

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