2021年の記事

美術家の李禹煥（リ・ウーファン）の言葉だ。韓国出身の彼は日本を拠点に世界中で活躍する現代アートの先導者。表現者である彼にとっては造形も絵も言葉も、生まれてくる源泉は同じなのだろう。…

ヨーロッパは石の文化、日本は木の文化だと言われる。風土と精神性に最も適していたのが、その素材だったのだ。なるほど、日本人は木をうまく使ってきたし、愛着を寄せてきた。新国立競技場の設…

ＪＲ四ツ谷駅から飯田橋駅にかけて、土堤のうえに桜並木がある。市ヶ谷に事務所があったころは、ときどき歩いたものだ。土堤の下を黄色やオレンジ色の電車が行き交い、外堀をはさんだ対岸に桜並…

辻邦生は、北杜夫との対談週『若き日と文学と』で、文学についてこう書いている。――文学というものは、もともと生気が枯渇してゆく生活のなかに精神の養分を注ぎ込んで、生命本来のいきいきし…

正月も三が日が過ぎたころには、冷蔵庫の中も閑散としていて、おせち料理の名残りがひっそりと最後の出番を待っている。そのまま食卓に並べるのはあまりにも芸がなくて淋しい。それではどのよう…

下を向いていたら、虹を見つけることはできない。チャップリンらしい言葉だ。不肖・私の言葉「空の大きさを見よ、心の襞を観よ」にも通ずる。毎日、街頭や駅の構内で無数の人たちとすれ違う。大…

江戸後期から明治初期に生きた尼僧、大田垣蓮月は歌人でもあり陶芸家でもあった。自作の和歌を掘った「蓮月焼」は贋作が出回るほど人気を博したという。収入のほとんどは施しや架橋工事などに使…

ひさしぶりに、大久保サァに会いたくなって青山霊園へ行った。大久保サァとは大久保利通のことだ。歴史上、私が最も尊敬する人物である。海音寺潮五郎の『西郷と大久保』を再読している。このよ…

日本で３番目の高さを誇る北アルプス最高峰・奥穂高岳に登頂したときだった。どこからともなくマイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』のなかの「オール・ブルース」が聞こえてきたの…

昭和36年生まれの鈴木重美さんはもうすぐ還暦。大学を中退したあと、ひたすら自由に、流れに身をまかせて生きてきました。その結果、たどり着いたのは「縁カレッジ」。いろいろなアイデアを持…