幸福に生活しようとする人は、何よりもまず自分の「気分」から完全に解放されることが必要である
世界三大幸福論を唱えた一人、カール・ヒルティの『幸福論』からひとつ。幸福の定義を取り上げてみた。ヒルティは幸福になるための方法を具体的に紹介したことで世界中の人々を魅了した。その第一部の最初の項目が「仕事の上手な仕方」というのも面白い。幸福度を決めるのは働くことなのだ。
人類は心を持ったがために、良くも悪くも成長と進化を遂げた。
科学技術の発展には、脳以前に心が作用している。
嬉しい、楽しい、気持ちいい、悲しい、苦しい、悔しいなどの感情は、新しい何かを生み出すきっかけになる。
形のない心が、形あるモノを創造する。
そしてまた、心によって破壊もされる。
この世界は心が作り出したもので、それゆえ、人間はずっと心に支配され続けている。
幸福を求めるのも心ならば、幸福を妨げるのも心。
それなら支配されるのではなく、支配してしまおうというのが禅やヨガの瞑想であり、ヒルティの掲げる実践的幸福論である。
幸福感を得るには心が穏やかでなければならず、心に作用する「気分」をどうにかしなければならない。
「気分」から完全に解放されることが、幸福への近道というわけだ。
ヒルティいわく、
「すぐに変わりやすい心の指図に従うよりも、むしろわれわれが平静な時に自分の思想と行動とのために定めた主義原則に従う方が、だいたい結果がよい」
つまり、決めたことを淡々と繰り返すだけでいいという。
やるべきことをルーティン化してしまえば、気分に振り回されることもなく物事がスムーズに進むということだ。
平常心を保つために、やるべきことを繰り返す。
繰り返される型が、ゆれ動く心を手なずけてれくれる。
感情に振り回されそうな自分を眺めることができれば、いい判断ができて、いい結果にもつながるだろう。
今回は「千秋楽」を紹介。「この相撲一番にて、千秋楽〜」という口上、耳にしたことはありませんか。相撲でおなじみ、場所最終日に行司が呼び上げる結びの触れです。 続きは……。
(21100 2第752回)