千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす
宮本武蔵による兵法書『五輪書』の中の至言をひとつ。あまりに有名だから、知っている人も多いはず。伝説のバンド、クイーンのヴォーカル、フレディー・マーキュリーも日本の付き人に『五輪書』のことを訊ねたことがあるらしい。しかし今は、「二刀流」といえば武蔵よりもメジャーリーグの大谷翔平選手の方が、彼の地では知名度はありそうな気がする。
誰もが当たり前のように知っている「継続は力なり」という普遍の真理。
目標に向かって一歩一歩、歩き続けることが頂にたどり着く唯一の方法。
しかし、そうと分かっていながら、なかなか続かない。
それはきっと、スタートダッシュでエネルギーを使い果たしてしまったり、周りに気を取られて、焦りから自分のペースを乱してしまったり、頂上を見上げすぎて足下の危険を見落としてしまったり、あるいは本心から求めたものではなかったりと、続かない理由はいくらでも見つかる。
では、続く、続けられる理由はなんだろう。
世界的有名な「シンデレラ」の話に、そのヒントがある。
人も羨む幸せを手に入れたシンデレラは、あることを心がけていたからだと、テレビショッピングのカリスマディレクター、小枝雅代さんは近著『シンデレラ 幸せを呼び込む7つの習慣 人生を180度変える幸せのメソッド』で語る。
内容の詳細は分からないが、最も重要なポイントを小枝さんはラジオで紹介していた。
ひとつは、いつも笑顔でいること。
どんな時も、ご機嫌でいようと努めることだと。
そしてもう一つ。
「Wish」と「Non Wish」をはっきりさせること。
つまり、「したい」ことと「したくない」ことを整理する。
これが整理できるか、できないかで、未来設計図は大きく変わるという。
実はこれ、令和のシンデレラ、大谷翔平選手や大阪なおみ選手などにも共通するメソッドらしい。
宮本武蔵のいう
「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」
を令和風に言い換えれば、
「目標を絞り込み、今やるべきことをやり、小さな成功体験を一つ一つ積み重ねていく」
と、なるだろうか。
笑顔で、前を向いて、目標に向かって一歩一歩、進んでいく。
そして、疲れた時はゆっくり休んで、心と体にエネルギーを補充する。
その繰り返しが、唯一無二の「自分」というシンデレラへの道なのだろう。
何かを続けていくには、
世の中の常識にあてはまらなくても、
誰かや何かと比べずに、
自分にとっての喜びや幸せのかたちを、ちゃんと分かっていることが必要なのだ。
今回は「色なき風」を紹介。
―― 吹き来れば身にもしみける秋風を 色なきものと思ひけるかな(紀友則『古今六帖』)続きは……。
(211019 第756回)