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紺碧の将

ソウルメイトや本当の友達とは、あなたが探し求めている美しさや愛が、すべて本来の自分の中にあることに気づかせてくれる存在なのです

ティク・ナット・ハン

「マインドフルネス」を欧米諸国に紹介し、多大な影響を与えたベトナム人の禅僧で平和活動家のティク・ナット・ハン師の言葉である。今月(2022年1月)22日に95歳で逝去した師は10歳で出家、ベトナム戦争の最中に終結を呼びかけ国を追われ、約40年間フランスで亡命生活を送ったという。仏教会ではダライ・ラマ14世に次いで影響力があったそうだ。著書『愛する』から抜粋した。
 
 本当の友達って、なんだろう?
 自分のソウルメイトはどこに?
 
 そんな風にして、誰もが一度は離れ離れになった自分の魂の片割れを探し求めたことはあるのではないだろうか。
「ソウルメイト」などと大袈裟に魂の友を求めなくとも、信頼するパートナーが欲しいと思うことはあるだろう。
 
 人は足りない何かを埋めるために、その「何か」を探し続け、外にあるものを内に入れて埋め合わせる。
 お腹が空けばご飯も食べるし、喉が乾けば水も飲む。
 生きていくのに必要であれば、知識を入れて知恵もつける。
 それで十分と思いきや、人間、欲があるからそれ以上のものも求める。
  自分が持ち得ないものを、他人が持っていれば羨ましいと思うし、それを欲しいとも思うだろう。
 
 それは、心や体に対しても同じこと。
 人と比べて劣る部分を隠すように、優れた誰かや何かで埋め合わせようとする。
 それを可能にしてくれるのが「本当の友達」だと思っているなら、考えを改めた方がいいと、ティク・ナット・ハンは言う。
 
「真実や善良さ、思いやり、精神の美しさを、必死で誰かの中に探し求め、それらを具現化したような相手を見つけるのです。
 でも、しばらくすると、それが自分の思い込みだったと気づいて、がっかりしてしまいます」
 
 しかし…と、ティク・ナット・ハンは言葉を継ぐ。
 
「ソウルメイトや本当の友達とは、自分が探し求めている美しさや愛が、すべて本来の自分の中にあるのだということに気づかせてくれる存在なのだ」と。
 
 あなたを喜ばせたい、あなたを笑顔にしたい、あなたの苦しみを理解したい、あなたの弱さも強さも受け入れよう。
 そう思う気持ちが内側から溢れてきたら、それはきっと、そばにいる誰かや何かがソウルメイトや最良のパートナーだという証ではないだろうか。

 彼らから受け取る「愛」が、自分の中に眠っていた愛を呼び起こしてくれたのだから。

 

神谷真理子(本コラム執筆者)公式サイト「ma」

 

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(220128 第775回)

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