失敗こそが、あなたを作る
前回につづき、映画『あなたの旅立ち、綴ります』から。ハリエット・ローラーの言葉をもうひとつ紹介しよう。どちらも甲乙つけ難く、どちらにしようかと迷った片方の言葉だ。生前に訃報記事を書くよう依頼した地元の若い新聞記者、アン・シャーマンにハリエットが伝えた言葉である。
幼い頃から思いつくまま心の内をノートに書き留めていたアン。
決して誰にも見せなかったそのノートを、次第に心を許していったハリエットだけに見せた。
アンの文才を認めつつも、ハリエットは少女のような空想ではなく、大人の女性として現実を書けとアドバイスする。
だがアンは、失敗するのが怖いと言う。
そんな彼女に、ハリエットは言うのだ。
「失敗こそがあなたを作るの。
失敗があなたを賢くし、強くし、自立した人間にするのよ」
それに対し、アンは、
「私はあなたのような恐れ知らずじゃない」と返す。
ハリエットは自分の娘に言いたくても言えなかったことを、アンに伝える。
「倒れなさい。思いっきり失敗するのよ。
失敗すれば、学べるわ。
失敗すれば、生きられる」と。
虫に喰われたり、枝を伐採されたり、あるいは自然の力によって枝が折れた木は、その傷ついた部分をよりいっそう強化して太くたくましく伸びてゆく。
人も同じ。
なにごともなく成長するより、転んだり、ぶつかったり、失敗すればするほど、注意深く、思慮深くなる。
発明王のエジソンもそうであったように、ひとつの新しい発見は、排除された数多の失敗があってこそ。
失敗なくして、成功はない。
失敗なくして、強くしなやかな人生はない。
失敗は選択肢を絞ってくれるし、失敗は知恵の宝庫だ。
何を恐れることがある。
どんどん失敗すればいい。
失敗は最高の成功法なのだから。
今回は「やんわり」を紹介。
他国語と日本語の大きなちがいといえば、漢字、カタカナ、ひらがな、ときにはローマ字と、文字の種類が多いことでしょうか。続きは……。
(230118 第828回)