脱皮しない蛇は滅びる
フリードリヒ・ニーチェ
英語の格言「海の向こうのイケてる言葉」でニーチェの言葉を紹介しているが、ついでだからここでもニーチェの言葉を『曙光』より抜粋。
新緑の季節はニョロニョロの季節である。ニョロニョロは寒い季節を仮眠(冬眠)でやりすごし、季節が良くなると地上に現れ、活動を始める。なんとも効率的な生き方をしている。
しかしこのニョロニョロ、脱皮が欠かせない。生きるために古い殻を脱ぎ捨てているのである。脱皮できなければ内側から腐っていくらしい。
人間も日々、無数の皮膚の欠片を落としているという点では同じだが、ここで言う「脱皮」とはもちろん、そういう話ではない。
ではなにか?
古い価値観に縛られ、いつまでもそれに固執することだ。
時代は変わる。一瞬と言えども止まることのない時代の流れにあって、どれを保ち続け、どの新来の考え方を取り入れるか、その按配が問われる。
芭蕉はそれを「不易流行」と言った。守るべきは守り、改めるべきは改める。それができなければ、やがて内側から腐っていく。世にあまたいる不機嫌な高齢者は、脱皮できていない人ともいえる。そうならないよう、ニョロニョロに学びたいものだ。
(240506 第857回)