可能は不可能に尋ねた。「君の住所はどこ?」不可能は答えた。「無気力者の夢の中です」
ラビンドラナート・タゴール
アジア人として初のノーベル賞となるノーベル文学賞を受賞した、インドの詩人タゴール。来日した際は、親交のあった岡倉天心の墓を訪れ、天心ゆかりの六角堂で詩を読むなど大の親日家でも知られた。
タゴールはガンジーの活動を率先して支援するなど平和主義者だったが、日本が自主防衛のための軍事力を保有することは肯定した。自らの力で人生を生き抜くことでこの世界は愛すべきものになると考え、詩作には力強い言葉が並ぶ。
どこだったか、人間の眠りを「小さな死」と表現する国がある。無気力のなかに漂うとき、人は眠っているも同然だとすれば、そこに横たわっているのはまさに「死」。無気力は、あらゆる可能性を滅する「死」も同然なのである。
(130201第51回)