和をもって貴しと為す
聖徳太子
和をもって貴しと為す
ご存知、聖徳太子の「十七条憲法」の冒頭にある名文。
爾来、日本人はこの言葉をどれほど尊重し、肝に銘じてきたことか。
では、この場合の「和」とは何か?
和は、和食、和歌、和紙、和英辞典などのように、「日本」という意味を表す。それだけでも、この一字が日本の核になっていることは明白だ。
和とは、自分を失って相手に合わせるのではなく、しっかり自分を保った上で、相手を尊重し、調和すること。神仏習合や和食の基本がそのいい例だ。もともとカミ信仰があったのに、それを保ちつつ新来の仏教を取り入れた。和食の素材は仕上がったときに何がなんだかわからないほどまでにはミックスさせない。つまり、「自分」がある。
翻って、和とはやみくもに迎合するのではないということ。しかも、相手の価値観も認め、バランスをとっていくということ。それが自然体でできるのは、地球広しといえど、日本人以外、あまりいないかも。
(141006第87回)