人間はどうも、完全な自由のなかでは自由を感じにくい生き物らしい
玄侑宗久
禅僧であり芥川賞作家でもある玄侑宗久氏の著書『禅的生活』からの抜粋である。
なぜ人間は完全な自由のなかでは自由を感じにくいのか。
玄侑氏はこう続ける。
「たとえば、ししおどしの音がカランと響いた直後に初めて『静けさ』を意識するように、人は不自由な制約のなかでの変化に初めて自由を感じるのだと思う。おそらく罰ゲームのある遊びが楽しいというのも、似たような理由ではないだろうか」
目的や目標、志なるものを持つことが大切だといわれるゆえんもここにあるという。
そういう何かを心に決めることによって、ようやく人生はそれなりにまとまりを見せるのだと。
てんでばらばらの風来坊のような生き方では、ほんとうの自由は感じられないのだろう。
自由を感じるためにも、何かの決め事はあったほうがいい。それが自分自身で作れるならなおさらだ。
そのほうが、人生も数倍楽しめるにちがいない。
(150910第118回)