人が死んだ後に残るものは集めたものではない。与えたものである。
横内祐一郎
ギター製造会社フジゲン会長、横内祐一郎氏の言葉だ。異国の地でのギター販売営業で苦境に陥っているときに受けた恩情が、彼の人生に大きな影響を与えたという。
人間本来無一物。
人はみんな、何も持たずに生まれ、何も持たずにこの世を去ってゆく。
当たりまえのことだが、生きて元気なうちは、そんな当たりまえのことすら忘れている。忘れて欲望を満たそうと、いろいろ手に入れることにあくせくするのだ。
しかし、それが生きているという証拠でもある。欲があるから元気にもなる。その欲がどこに向けられているのかが重要ではあるが…。
与えよう。集めても集めてもいつかはこの世を去るのだから、集めたら与えよう。
集めて得たものは、きっとだれかの役にたつ。
それが循環というものだろう。
(151121第140回)