鉄船水上浮(てっせんすいじょうにうかぶ)
龐居士
生を護るには、すべからく、これ殺すべし
殺しつくして始めて安居す
箇中の意を会得すれば
鉄船水上に浮かぶ
かつて、鉄の船が水に浮かんだり、鉄の塊が空を飛ぶなどと誰が信じただろう。今やそんなことは当たり前で、人が操作せずとも車を走らせたり、空中に浮かぶスニーカーまで発明されるという時代。バック・トゥー・ザ・フューチャーしかり、ドラえもんしかり、SFの世界がそのまま現実となっている。
日本で最初に鉄の船を浮かばせたのは織田信長。
不可能を可能にしようとする発想力こそ、信長の強さだったのではないか。
奇跡を起こすのは超能力のあるなしではない。
こだわりを捨て、決めつけることをしない柔軟な心と、執着や束縛から離れた自由な発想こそが不可能を可能にする。
「生を全うするなら、その生を殺し尽くすこと。そうすることではじめて、心が安らかになる。それを体得すれば、鉄の船さえも水に浮かぶ」
常識やこだわりという妄想を解き放てば、思いもよらなかった現実がやってくるかもしれない。
できないのは能力が足りないのではない。
想像力が足りないだけだ。
(151224 第150回)