大地は人間のものではなく、人間が大地のものだ
スクアミッシュ族シアトル首長
アメリカ先住民族、スクアミッシュ族のシアトル首長の言葉である。
人間は過ちを犯しすぎた。
この世を統べる何ものかに代わって、人間が地球を支配できると勘違いし、物言わぬ生物やエネルギー資源を容赦なく乱獲しつづけてきた。
にもかかわらず、人間の身勝手な行いはとどまるところを知らない。
一時の感情で飼われたり捨てられたりする動物たちは行き場をなくし、勝手に植えられ、季節を謳歌する前に枝を伐られる街路樹たちは、愛でられるどころか厄介者のレッテルを貼られてしまう。
さらには、先人たちが未来に託した思いをも断ち切るかのごとく、長年、美しい景観をつくってくれていた植樹の年輪を無残にも伐採する人間の、なんと傲慢なことか。
シアトル首長はこうつづける。
「人間は生命の織物を織る存在ではなく、そのなかの一本の糸に過ぎない」と。
人間が大地に降り立ったのは、たかだか700万年ほど前のこと。46億年という気の遠くなるほど長い歴史をもつ地球からすれば赤子のごとくである。
生命の織物を織る大いなる存在は、より美しい織物を織るために、やがて人間という一本の糸に見切りをつけるかもしれない。
今まさに、その選別が行われているのではないだろうか。
(160104第153回)