人間は出逢うべき人には必ず逢える。一瞬遅からず一瞬早からず
哲学者、森信三のこの言葉は有名だから知っている人も多いだろうし、知らなくても体験をとおして気づいている人もいるだろう。
振り返ってみると、つくづく「なぜこのときに、この人と」と思うような出会いがいくつもある。
いや、もしかすると、街ですれちがったあの人も、電車でたまたま隣に乗り合わせた人だって、はじめから決められていたんじゃないかと思えてくるから不思議である。
神か仏か知れないが、ときどき、その大きな掌の上で転がされているような、「ぜーんぶみえちゃってるもんね」とかなんとか言いながら、ぷぷっと笑われて眺められている気がしてならない。私だけだろうか…。
一日に出会う人の数は人それぞれだし、ましてや一生のうちに出会える人といったら、住む場所や仕事など、環境や状況によって大きく差が出るのは当然である。
その限られた出会いの中で、人生を大きく変化させる出会いというものがあるとすれば、まちがいなく、自分の思いが引き寄せているといっていいだろう。思いは行動につながり、運命になる。
宿った命を運ぶのは自分自身。
迷いながらも懸命であれば、道中で同じような仲間との出会いや、人生の師との邂逅があるかもしれない。
遙か上空から、ぶつかったり転んだり迷ったりしている様子を、いつ起き上がるかと、じーっと見守っている視線を感じるのは、やっぱり私だけだろうか。
(160210 第165回)