本物とは、厳しい環境に耐えて長持ちするもの
宮脇昭
1970年代から、国内外の1700ヶ所以上で4000万本以上もの木を植え続けてきた植物学者、宮脇昭氏。東日本大震災直後、すぐさま被災地で現地調査を行い、「いのちを守る森の防潮堤」の必要性を訴え、90歳を目前とした現在もその取り組みに尽力している。
本物とは何か。偽物とは何か。
一見、本物のように見えて、実は偽物ということはよくある。
その偽物をどうやって見分けるのか。
宮脇氏は、厳しさに耐えうるものこそ本物だという。
つまり、本物は強い、ということ。
では、その強さはどこからくるのか。
宮脇氏はこうつづける。
「本物は手がかからないのです。植物も人間も、その特質にあった土壌であれば必ず根を張り、すくすくと伸びていきます。人間のように動けない植物は、何があっても与えられた土地で生き延びていこうとします。そうでなければ、滅びてしまうから。文字通り、命をかけて生きようとするのです」
厳しい環境にさらされ、時間をかけて成長したものは本物になる。
裏を返せば、逆境や苦境というのは、その場所で本物になれるかどうかを試されているのだろう。
まずは、根を張るための土壌づくりからはじめたい。
(160317 第176回)